現在、ロシアがウクライナを侵攻し国外へ避難した膨大な数のウクライナ人が難民と化しています。
日本でも避難民となったウクライナ人を保護するために数十名の入国を受け入れましたが
そこで今問題となっているのが避難してきたウクライナ人たちと一緒に避難してきた『ペット』
日本政府は4月18日に犬の検疫を特例で「隔離免除」とし、ウクライナ避難民のペットに対する狂犬病の検疫手続きを緩和したと発表しました。
狂犬病の怖さを知っていたら、本当にその特例措置が妥当だとあなたは思いますか?
本記事では私がフィリピン留学中、実際に目の当たりにした狂犬病のコワさについてお話しします。
もくじ
【実録】フィリピン留学で目の当たりにした狂犬病のコワさ
私は2015年からフィリピン留学をしていました。
留学中は学校の敷地内にある寮で寝泊まりをして生活をしていましたが、平日の夜や休日は自由に外出ができました。(門限あり)
そんなとき、ある一人の学生がどこかのレストランだかバス停だかの椅子に座っていたときのこと。
椅子の上にあげていた足を地面につけて座り直そうとしたときに事件は起こりました。
その椅子の下には猫が来ており、おろした足が猫のしっぽを踏み、猫に噛まれてしまったと・・・
不運なことにその学生は狂犬病の予防接種もしておらず、自費で車を出し片道4時間以上かけて大きな病院へ受診することになりました。
検査や投薬もしつつ経過観察し、数日後か数週間後に再検査へ行っていました。
その学生は、元々私が看護師ということを知っていたので、噛まれた当日に泣きながら相談をしてきたことを覚えています。
私がしてあげられることは何もないのですが、予防接種の有無と噛まれた傷口を確認して当時の状況や噛まれた猫がどこの猫なのかを聞き、
傷口を一刻も早く洗浄することと狂犬病の致死率を説明し、駐在する日本人スタッフへすぐに相談して病院受診するようにすすめました。
その学生は幸運なことに検査の結果も陰性で、狂犬病発症予防のために定期的に病院へ行ってワクチンを接種することで事なきを得ました。
少し長くなってしまいましたが、フィリピン留学中にこんな嘘みたいなことが実際に目の前で起きたことがあります。
狂犬病のワクチンを打っていれば・・・と思ってしまいますが、後の祭りです。
留学/ワーホリを考えている人向け
留学やワーホリをしようと考えている人におすすめの記事で、予防接種などについても詳しく書いています。
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ワーホリや留学したい人に必要なもの3つ『これが揃ったら出発しよう』
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狂犬病は犬以外からも感染する
私が話したことからも分かるように、狂犬病は単純に犬だけから感染するものではありません。
すべての哺乳類に感染し、コウモリや猫などからも感染する可能性があります。
また、フィリピンには多くの野良犬が生息しているため、街で狂犬病を持った(持っているかもしれない)犬に遭遇する確率は非常に高いです。
狂犬病の主な症状
狂犬病の症状としては水を怖がったり、風を怖がったりするといった症状が見られます。(恐水症、恐風症)
こういった症状は、一般的な動物の犬が水や風を怖がったりする様子と似ていますね。
発熱や食欲不振、不安症や恐水症・恐風症などといった症状とともに、錯乱や興奮・麻痺といった症状もみられるのも狂犬病の特徴です。
狂犬病のコワいところ
私が狂犬病のコワいと思う点は2つあります。
- 発症後の致死率が100%
- 感染する状況がさまざま
発症後の致死率ほぼ100%
狂犬病がコワいその理由は、発症後の致死率がほぼ100%ということ。
そして、この致死率はヒト・動物ともに同じです。
感染動物によって噛まれた傷口からウイルスが入り、狂犬病を発症してしまった場合は助かる見込みがありません。
感染動物との接触から狂犬病を発症するまでの期間には人によって差があり、潜伏期間は1~3ヶ月といわれていますが、
発症までに8年といった長い年月がかかった人もいたりします。
感染する状況がさまざま
この言葉の意味は、フィリピン留学で私が目の当たりにした猫に噛まれた学生のケースを知っているからです。
実際にこれまで日本で狂犬病を発症した人のケースを見ても、犬に噛まれたことが感染原因となっています。
足を椅子の上にあげて人と話をすることもあるし、想像に易いのはご飯を食べたり呑みに行った席で、足を組んだりすることってありませんか?
その足を下したときに、まさか椅子の下に、自分の足元に猫がいるなんて予測していますか?
猫のしっぽを踏んで猫に噛まれるなんて、、しかもその猫が狂犬病を持っているかもしれないなんて・・・考えただけでもゾッとします。
その学生の一件があってから、フィリピン留学中はいつ何時も足の裏を地面から外さず、立ち上がるときには必ず足元を見まわしてから動いていました。
犬に追いかけられても走らないとか、立ち上がる前に周りを見回すとか、自分が最低限できることはやりましょう。
思いがけないところに危険は潜んでいるものです。
狂犬病は防げる
狂犬病は事前にワクチンを打って、万が一感染動物から噛まれたりした場合に備える予防接種と
不運にも感染動物に噛まれ狂犬病感染が疑われた場合に、発症を防ぐために事後投与できるワクチン接種の2つがあります。
感染する前にワクチンを投与する予防接種
狂犬病ウイルスを持っている感染動物に噛まれたりする前に、予防接種を打って狂犬病を予防することができます。
予防接種は指定の医療機関で受けることができ、価格は5000円~10,000円ほどだったと記憶しています。
予防接種としてはやや高い値段のような気もしますが、この金額で致死率100%の病気から命が守られると考えたら安いものです。
狂犬病の予防接種の詳細については、受診予定の医療機関へお問い合わせください。
感染動物に噛まれた後のワクチン接種で狂犬病の発症を抑制できる
また、万が一に感染動物に噛まれたりした後であっても「暴露後ワクチン接種」というものがあり、狂犬病の発症を抑制することができるものもあります。
上述した話の、私がフィリピン留学で目の当たりにした猫に噛まれた学生さんも、この暴露後ワクチンを接種していたと考えられます。
詳しくは、厚生労働省のホームページよりご確認ください。
【フィリピン留学を予定している人】狂犬病の予防接種はマスト
フィリピン留学を予定している人は、狂犬病の予防接種は絶対に外せないマスト案件です。
海外には、日本では流行していない感染症などもありますので、フィリピンだけに限らず海外渡航される予定のある方は渡航先で注意すべき感染症などについて、
外務省が出している海外渡航情報などを確認しておくことをおすすめします。
参考までに私がフィリピン留学へ行く前に受けた予防接種の中身をご紹介しておきますね。
- 狂犬病
- 日本脳炎
- A型肝炎
- 破傷風 など
海外渡航時に気をつけたい狂犬病以外の致死率高めな感染症
海外には、狂犬病以外にも感染し発症すると死亡する確率が高い感染症があります。
その中でも、エボラ出血熱は誰しも耳にしたことがある有名な感染症ですね。
他にはマールブルグ病やクリミア・コンゴ出血熱などもありますが、渡航先によって感染の恐れのある感染症は異なります。
狂犬病にも共通して言えることですが、「致死率が高い」から恐れるのではなく、ワクチンがあるものはきちんと予防接種をして感染する前に対策をしましょう。
狂犬病の致死率はほぼ100%!ワクチンがあるのでフィリピン留学などの前にはきちんと予防接種を:まとめ
今回は、私も実際にフィリピン留学の際に目の当たりにして驚いた狂犬病に関する話をお伝えしました。
狂犬病という病気を知らずに「ペット保護」だけを訴えている方には、一度きちんと狂犬病のことについて勉強し直してもらいたいです。
狂犬病に関してはワクチンも開発されており、渡航前には予防接種を打つこともできます。
渡航先によっては感染リスクのある感染症が異なります。
海外渡航前に受けるA型肝炎や狂犬病などの予防接種はすべて自己負担で高い費用が掛かるので、しっかりと調べた上で必要なワクチンを接種することをおすすめします。
ワクチンの値段は決して安いとは言えませんが、自分の一生の命と引き換えにしていると思えば安いものだと思いませんか?
参考:厚生労働省ホームページ